昨年4月、「村上海賊」のストーリーが日本遺産に認定された。以降、尾道市と今治市において様々な取り組みが始められた。そうした中での因島地域の役割について、一般社団法人因島観光協会専務理事の岡野憲明さん=写真上=に話を聞いた。
因島中庄町の因島水軍城は、日本遺産の情報発信を行う施設(村上海賊日本遺産ビジターセンター)としての整備が急速に進んでいる。
日本遺産認定をきっかけに水軍城への来場者が明らかに増加している。最低を記録した、平成22年度の1万7206人に対して、28年度は4万938人へと倍増した。
来場者の内訳は、「旅行途中に立寄った」という人が43%、「日本遺産になったから」が40%を占めた。外国人客も年間400人になった。この数は益々増えると予測される。
来場者の急増に対応し今年3月、大型展示解説パネル(ジオラマ)が設置された=写真下。3Dカラープリントを使い、向島、因島百島、岩子島、細島、生口島の6島の立体模型を、また液晶モニターからは村上海賊のプロモーションビデオを見ることができる。
新しい看板が設置され、入場チケットも一新。日本語・英語・仏語・韓国語・中国語(2種類)による新パンフレット計12万部、ポスター1万2000枚、ステッカー2万枚が作成された。新しい幟も数多く準備されている。
また、靴を履いたままの入場や、休憩所と土産物売り場の充実が検討されている。
「日本遺産『村上海賊』発信基地としての因島の役割を担いたい。そして、その構成文化財を担う地域の方々とともに連携し、一体となって盛り上げていきたい」と岡野専務理事は語気を強める。国内外に村上海賊の実像を知ってもらいたいと語る。
この努力は日本遺産認定の前からすでに始まっていた。切れ目のない特別企画展の実施、団体客向けのハンドマイクによる展示品の説明、かき氷販売、自動販売機設置、旅行会社への礼状などおもてなしの充実を図ってきた。
これには、「地元の人々にも、水軍城への愛着を強めてもらい、水軍城があって良かったと言ってもらいたい」という想いが込められている。
駐車場改装が完了
因島観光協会が指定管理者として運営している、市営長崎駐車場の全面改装が3月末に完了した。一台ごとの駐車スペースを広くし車椅子のまま入れるようエレベーターを大きくした。防犯カメラの新設、壁と床の塗り替えを行い、建物全体の塗装も新しくした。フェリー待合室が新設され、洋式トイレも導入された。
今後も、土生港の市営中央駐車場とともに利用者の要望に応えていく。