かせびらさんの愛称で親しまれている宇賀の神は、地図の上では春日神社と書かれているので、因島田熊町の山神神社に比べればスマホで探しやすいと思う。しかし現地に近づいても、発見できないかもしれない。というのは、道らしくない道があって、その下にあるからである。屋根を見つけて、それだと思ってもどこからお参りするのか、参道の入口がわからない。道の下にあるのだから、道との高さが最も小さくなるところから入るということが理解できて、それらしきところを発見しても、蛇が出そうでやはり躊躇してしまう。
なぜこんなことをだらだらと書くのかというと、本来のというか、往時の光景は現在とは全く逆の様相を示していたと思うからである。
雑草に覆われ両側から傾斜地がせまってくる周囲は、イノシシの運動場にしか見えないが、元は田んぼだった。あぜ道はよく手入れされ、その外側の水路には、メダカ、ドジョウはもちろん、タニシや、ちんぼうさしと呼んでいたミズカマキリやミズスマシなどの水棲動物の宝庫だった。それらが激減したのはホリドールと呼ばれたパラチオン系の農薬が使われだした頃からだと思う。
田植えが終わり、水を張られた田んぼは初夏の光を反射して輝く。夏の間に稲は緑を増して稔り、秋には黄金色に変わる。
その片隅にお宮があって、里山の四季によく溶け込んでいたことだろう。
この辺りが因島田熊町の田んぼの発祥の地だと言われているから、そこに穀物神である宇賀の神(宇賀大神)が祀られたのである。山の神が降りて来て田の神となる信仰との関わりはわからないが、こちらはそれとは独立した田の神である。境内にはツキヨミさんも祀られている。宇賀の神は女神であるので、月読の命を併せて祀っているのは気の利いた配慮である。
因島大浜町の幸崎城跡にある芋神社では、月読の命が祀られている。月読の命は天照大神の弟神で、やはり穀物神である。
(写真・文 柏原林造)
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